時間は平等に与えられておりどのように過ごすのも自由ですが、やり直しがきかないのは皆さんご存じの通りだと思います。
貴重であることはわかっているにも関わらず、つい過ごし方をないがしろにしてしまいがちですが、ここで時間の過ごし方を見直してみられてはいかがでしょうか。
|
合計してみることで見えてくる事実がある
経営学の大家であるドラッカーの著書であるマネジメントでも時間の希少性について触れられており、「時間の使い方を集計して把握せよ」と記載されています。
ピーター・F・ドラッカー (著), 上田 惇生 (翻訳)
先人の助言に習い集計を取りたいと思いますが、今回は実績の記録をとるのではなく、シミュレーションの形式でご説明したいと思います。
例えば、睡眠・通勤・仕事を例に取って考えてみましょう。
毎日6時間程度の睡眠を取っている場合、1年間での合計睡眠時間は6×365=2,190時間となります。
2,190時間を24時間で割ると91.25日となり約3ヶ月間に相当します。
通勤にドアツードアで往復4時間掛かっている場合は、1年間で240日勤務しているとすると、1年間での合計通勤時間は4×240=960時間となります。
これは40日であり、1ヶ月半に相当します。
同様に、仕事について毎日9時間(昼休み1時間を含める)を240日とすると、1年間で9×240=2,160時間≒90日となり、3ヶ月になります。
つまり、1年を強引ですが1日として表現してみると、
- 1月~3月までは眠っており、
- 4月初旬に起床し、
- 5月中旬までかけて通勤をし、
- 仕事が終わったら10月に入っている
という計算になります。
つまりは残りの3ヶ月が朝晩の食事をしたり、家族・恋人・友人と過ごしたり、自己啓発に充てたり、というプライベートタイムになります。
これは仕事が8時間(プラス昼休み1時間)のケースでの試算ですので、多くの方は仕事により多くの時間を費やされるでしょうから、プライベートタイムは実質的にもっと少なくなり、2ヶ月あたりが関の山となるでしょう。
普通に社会人をしている場合、この限られた2~3ヶ月は甚だ貴重なものとなることがお分かりいただけると思います。
このまま現状維持をするのも自由ではありますが、人生の充実を目指すうえではプライベートタイムを拡大させて行くことが望ましく、時間の使い方を見直すのが発展的思考と言えるでしょう。
時間消費のコントロール可否を区別する
時間の使い方を見直すにしても、現実的に調整の余地がなければ何もできません。
睡眠時間を削ることができればまとまった時間が手に入りますが、健康を損なうリスクがあります。
私の場合は6時間以内に削ることは避けたいので、睡眠時間はコントロール不能な時間であると言えます。
通勤時間と仕事時間についても、転職や引越等による短縮が可能であれば良いですが(勿論、給与や仕事内容が希望に沿わない環境に変わるのであれば本末転倒です)、長期戦で臨まなければならないでしょう。
そうなると、すぐにコントロール可能なのはプライベートタイムですので、余暇の過ごし方をいかにしてブラッシュアップするかが課題となります。
悪習を良い習慣で置き換えて時間泥棒を撲滅する
時間の使い方にしても人間関係にしても、これらは習慣によって形成されています。
習慣を変えるためには、まずは不要なものを取り除くところからスタートする必要があるという点では時間の使い方も人間関係も同じです。
が、習慣は根深いもので、何も考えなければ自動的に行ってしまうほどに潜在意識に刻み込まれていると思います。
そこで、悪い習慣を良い習慣に置き換えることをされてみるのが良いでしょう。
新しいことを行うためには古いものを捨てる必要がある点では空白の法則と考え方は同じですが、習慣の場合は空白のままだと悪習が自動的に発動してしまうので、良い習慣で置き換えるのが取り組みやすいです。
すぐに思いつく時間泥棒の悪習としては、テレビ、スマートフォン、SNS、付き合いだけの飲み会、ギャンブル、等が挙げられます。
これらの時間を読書や勉強、芸術に触れる、等の仕事や教養を強化するための活動に充てるだけで大きく将来が変わってくると思います。
ただし、悪習と言われるものでも全て捨ててしまうと気分転換ができずにかえって心身が貧しい生活に陥ってしまう可能性があるので、どれか一つか二つくらいは適度なレベルで続けることも重要だと思います。
難しいですが、程よいバランス感覚が重要ですね。
重要な2割の時間泥棒に対処する
パレートの法則という言葉は皆さん耳にされたことはありますでしょうか。
「全体の2割の要因が結果の8割を左右している」という経験則です。
「上位2割の社員が売上の8割を叩きだしている」等の例えでビジネスの世界では好んで使われておりますが、ビジネスに限らず大抵のことに当てはまる法則です。
時間泥棒においてパレートの法則を当てはめてみると、「2割の時間泥棒が無駄な時間の8割を占めている」という表現になります。
例えばスマホゲームに余暇の大半を費やしている場合には、辞めてみたり費やす時間を半分にするなどの対処をするだけで、私達の自由時間が生み出されます。
細切れ時間を有効活用する
時間泥棒の断捨離とともに高い効果を見込めるのは、細切れ時間の活用です。
意外に見落としがちですが、通勤の電車待ちの時間や、ドラマの番組待ちの時間等、ちょっとした待ち時間を足し合わせると結構な時間になります。
これらの細切れ時間は英単語を覚えたり、仕事や資格試験の用語を覚えたり、という暗記に充てることで生きた時間になります。
人間の記憶はエビングハウスの忘却曲線のメカニズムに従っており、繰り返し覚えることで記憶が補強されて定着率が良くなります。
つまり、細切れ時間を使って繰り返し覚えなおすことは、まとまった時間を使って一度きりの暗記をするよりも効果的だということです。
じっくりと考える必要のある事柄はまとまった時間を確保することにして、暗記系の作業は細切れ時間を利用することで有効な時間の使い方をできるようになります。
習慣は複利効果を生み出す
習慣は毎日繰り返されるので、量が質に転化しやすいことが特徴です。
つまり、習慣を良いものに変えてしまえば、改善の効果も加速度的に向上していくことになります。
習慣として定着するまでは大変ですが、慣れてしまえばやらないことが不自然になるはずです。
良い習慣によって業務効率が上がり、仕事の成果が出て給与やキャリアアップに反映されれば、私ができたように仕事や通勤の時間を削減するといった展望にも結び付きます。
その様な複利効果を生み出すことができる時間の使い方を、これを機に見直されてみるのも良いのではないでしょうか。
|