理系出身の私は、社会人になってから勉強をはじめましたが、簿記2級に無事一発合格できました。
独学で合格できましたが、簡単な試験ではありませんでした。
そこで、簿記2級の受験経験を踏まえて、今回は簿記2級試験の概要、難易度と合格率の関係、独学勉強法についてご紹介したいと思います。
- 試験の概要や合格率を知りたい
- 簿記2級の効率的な勉強方法を知りたい
- 学校や仕事も忙しいけど、なんとしても一発合格したい!
簿記2級試験とは?試験概要や合格基準
はじめに、簿記2級の試験概要をざっくりとご紹介します。
簿記2級の試験概要と試験日
試験名 | 簿記2級 |
---|---|
試験日程 | 6月11月2月の年3回 |
試験時間 | 2時間 (集合時間 13:30) |
受験料 | 4630円(税込み) |
受験資格 | 学歴・年齢・性別・国籍による制限はなし |
持ち物 | 受験票・筆記用具・電卓 |
合格発表 | 各商工会議所で異なる |
簿記2級試験は全国各地で開催され、チャンスは年に3回あります。
簿記2級の試験科目と合格基準
商業簿記と工業簿記の2科目あり、工業簿記は2級で初めて勉強することになります。
合格基準は100点満点中の70点以上で、点数配分は下記の通りです。
- 商業簿記 60点
- 工業簿記 40点
- 合計 100点
もし商業簿記が満点の60点だとしても、工業簿記が0点なら不合格になってしまいます。
苦手分野は作れない試験・・・ということです。
また、簿記2級は相対評価なので、70点以上取れれば、合格者の人数は関係なく合格です。
簿記2級の申込み方法
簿記2級の申し込み方法は、全国の商工会議所によって異なりますが、
- インターネット申込
- 書店申込
- 窓口申込
などがあります。
申込みは試験日の約2ヶ月前からできるようですが、受験地によって異なるので詳しくは各商工会議所のページをご参考ください。
気づいたら終わってた・・・ということもあるので、余裕を持って申込みください。
簿記2級と3級の難易度の違い
簿記2級と3級の難易度の違いについてご紹介します。
日本商工会議所のHPによると、
- 簿記3級・・・基本的な商業簿記を修得・確定申告や青色申告書類の作成に役立つ・主に小規模企業・個人事業主
- 簿記2級・・・高度な商業簿記・工業簿記の習得・財務諸表を作成できる・企業の財務担当者に必須
簿記3級は個人や小規模企業の経理が対象ですが、簿記2級では中小企業から大企業までの「財務諸表」の内容を把握する力が必要です。
簿記3級よりも高度な力が求められ、レベルもグッと上がります。
簿記2級は新たに工業簿記(原価計算)が加わる
簿記3級との大きな違いの一つが「工業簿記」です。
簿記2級は「商業簿記」に「工業簿記」が加えられ、2つの科目を受験することになります。
工業簿記の中には「原価計算」もあり、数学的な要素が加わるので苦手とする人も多く、ここでつまずいて辞めてしまった・・・という友人もいました。
簿記2級をマスターすれば、就職や転職にも役立つ
簿記3級が「初歩的な「経理関連書類」を作成できる」のに対し、簿記2級は「高度な商業簿記・工業簿記の修得」とあります。
簿記2級をマスターすれば、財務諸表の作成に加え、数字が持つ意味を理解することもでき、経営管理や経営内容なども把握できるようになります。
ビジネスをする上で数字は切っては切れない関係です。
経理担当者はもちろんのこと、あらゆる職種の人が受験する資格でもあります。
ちなみに、簿記2級に合格して、そのまま公認会計士をめざす!という人もいます。
転職や就職活動、大学受験でも簿記2級は役立つ
簿記2級は経理担当者には必須の科目なので、取得すれば転職や就職活動にも役立ちます。
中には、転職活動での書類選考が有利になったり、大学の推薦試験の1次選考が免除になることもあります。
私の知り合いも大学受験で書類選考が免除になっていました。
簿記2級に独学合格したテキストや過去問、勉強法を公開します
次からは、私の簿記2級の独学勉強法を簡単にですが、ご紹介します。
詳しい勉強法を知りたい方は、こちらで紹介していますのでご参考ください。
私の場合、勉強期間は3ヶ月(1日2時間)、無理のないペースで独学で勉強し、1発合格できました。
簿記2級の教材・テキスト
最初の1ヶ月はテキストで徹底的にインプットしました。
私が使用したテキストはこちらです。
専門学校TACの教材です。表や図が豊富で、初心者でもわかりやすいく把握できる内容でした。
1日2時間のペースで勉強し、インプットしていきました。
電卓選びも重要
簿記2級は試験時間も限られているので、電卓選びも重要です。
私の場合、入力ミスしないように、【シャープ EL-G37 学校用電卓 12桁】を選びました。
右手でペンを持ち、左手で電卓を叩くことで、無駄な時間もかからずスムーズに試験にのぞめました。
私の妻は、最初はデザイン性の高いモノを買っていましたが、打ちづらく計算ミスを連発してしまい、学校用電卓を買い直していました。
簿記2級問題集でアウトプット
2ヶ月目は問題集でアウトプット学習しました。
問題集も、テキストと同様に「よくわかる簿記シリーズ」を使用しました。
テキスト・問題集ともに、市販のモノはよくできているので、書店でパラパラと立ち読みし、自分に合ったものを選ぶのが良いと思います。
仕上げは簿記2級の過去問
3ヶ月目は仕上げの過去問です。
時間を測りながら本番同様に取り組むやり方で、試験に慣れていきました。
テキスト・問題集・過去問を使った詳細な勉強法はここではご紹介しませんが、興味のある方は下記の記事でかなり詳しく書いているので、よかったらご参考ください。
簿記2級は独学でもいける?難易度の高さと合格率の低さ
私の場合、簿記2級に独学で一発合格できましたが、学校の勉強や仕事をしながらだと、
簡単に合格できる試験ではない・・・と言えます。
その理由がこちらです。
簿記2級は3級に比べ合格率低い
簿記2級は3級に比べ合格率が低い傾向にあります。
- 簿記2級 平均20~40%
- 簿記3級 平均30~40%
簿記2級の平均合格率は、20~40%なので、平均で約7割が落ちてしまう試験です。
勉強が不十分だと、容赦なく不合格になってしまいます。
簿記2級は試験時期によって合格率が大きく変わる
こちらは簿記2級の合格率のデータです。
低いときでは11%の回もあります。ここ数年では、ほぼ毎年で合格率が10%台に留まる開催回があります。
- 2018年 6月 15.6%
- 2016年 11月 13.4%
- 2016年 2月 14.8%
- 2015年 11月 11.8%
約3年間の間でも、合格率10%台の回は4回あり、9割の人が不合格になってしまっています。
簿記1級の合格率も平均10%台なので、簿記2級は難易度が高くなってきている・・・といえます。
平成28年から平成30年に試験傾向が大きく変わった
ここ数年でなぜ約9割の人が落ちてしまうほど難しくなったのでしょうか。
その理由が、「平成28年から30年に試験傾向が大きく変更になった」ことが影響していると考えられます。
日商簿記検定がスタートしたのは昭和34年ですが、それ以降に試験範囲が変わるのは1級に限られ、2級・3級の変更はほとんどありませんでした。
しかし平成28年から3年間にわたり、段階的に2級の出題傾向は大きく変わっていくことになりました。
こちらが追加論点の一例です。
平成28年度の追加論点 | 平成29年度の追加論点 | 平成30年度の追加論点 |
---|---|---|
一般商品売買等 ・月次決算の処理 ・クレジット売掛金 ・電子記録債権・債務 | 有形固定資産 ・圧縮記帳(直接排除方式) | 有価証券 ・その他有価証券評価差額金 |
引当金 ・個別評価と一括評価 ・賞与引当金・返品調整引当金 | リース取引 ・ファイナンス・リース取引 ・オペレーティング・リース取引 | 税効果会計 ・繰り延べ税金資産・負債の計上 |
有形固定資産 ・割賦購入 | 税金 ・課税所得の算定 | 決算手続 ・製造業の決算処理 |
無形固定資産 ・ソフトウェア(自社利用のみ) | 外貨換算会計 ・外貨建ての営業取引 | 連結会計 ・未実現損益の消去 |
有価証券 ・小会社株式、関連会社株式 ・その他有価証券評価差額金 | 連結会計 ・資本連結 ・のれん ・連結精算表・連結財務諸表の作成 | |
収益・費用 ・認識基準(引渡基準・出荷基準) | ||
純資産 ・株式資本の計数の変動 |
文字にすると、スゴイ量ですね・・・
これらは一例で、実際は他にも追加論点があります。
もちろん代わりに削除された論点もありますが、追加論点のほうがかなり多い傾向にあります。
簿記2級の勉強時間:試験範囲が増えた結果、勉強期間は長期化する
上記のとおり、簿記2級の試験範囲が増えたので、難易度が高まり、学習期間が長期化するといわれています。
- H26年以前の2級 2~3か月
- H26年以降の2級 4~6か月
これまでの勉強時間は2~3ヶ月、時間でいうと200時間~400時間あるといわれていました。
しかし、今後の学習期間は4~6ヶ月、長くて6ヶ月かかる場合もあるといわれています。
学習期間が長期化すればするほど、モチベーションの維持も難しくなり、簿記2級の勉強を途中でやめる人が増えることが予想されます。
簿記2級を勉強しても、途中でやめる人も多い
簿記2級の受験料を払っても、毎年約1万5千人の人が実際に受験をしていません。
例えば、表の一番上の149回(2018.6.10)の場合、
- 受験生:52,694名
- 実受験者:38,352名
となっています。
受験生から実受験者を差し引いた14,342人は、「受験料を払ったのに受験はしていない」ということになります。
この割合はほぼ毎年続いていて、毎年約15000人が受験をしていません。
いろいろな理由があると思いますが、周りの話を見てみると
- 工業簿記が難しくて、理解できず嫌になってやめる
- 試験範囲が広く、受験日までに勉強が間に合わない
といった人も多いようです。
まとめ:簿記2級は独学でも可能だか、近年は難易度が高まり合格率も低い
では簿記2級についてまとめて見たいと思います。
- 簿記2級は高度な商業簿記・工業簿記を習得でき、ビジネスでも役立つ
- 独学でも可能。しかし、H28年の試験範囲変更以降は難易度が高まっている
- 勉強期間は長期化している
- 毎年途中で辞める人も15000人ほどいる
ここ数年で難易度がぐっと上がり、合格率も低いときで10%台という難しい試験です。
しかし、しっかり勉強すれば合格できる試験でもあります。
簿記2級の独学が不安な場合は、オンライン講座がおススメ
完全独学だと、勉強時間を確保しモチベーション維持に大変な面もあります。
そんな方にオススメなのが「公認会計士たぬ吉の資格塾」日商簿記講座2級です
公認会計士として業務経験をお持ちのたぬ吉さんが、分かりやすい言葉で解説してくれます。
- 実務で使える実践的な簿記の知識を身につけられる
- 専門学校よりもリーズナブルな価格設定
- 簿記1級、公認会計士や税理士にステップアップしたい方にも最適
前提として、テキストや問題集は別途用意しておく必要がありますが、たぬ吉さんの動画を見ることで、テキストや問題集で学習するタイパを高められるため、独学の方には有用な学習支援コンテンツとなります。
講座は33,000円ということでお財布にも優しいです。
試験範囲に改定があった場合も、解説動画を追加して貰える点も心強いです。
私が完全独学で大変だと感じたのは、法改定の度に自分で調べないといけない、勉強中このやり方でいいのか途中で不安になるという点でしたので、これは非常にありがたいです。
また、簿記2級のたぬ吉さんの動画では、2級で導入された「ネット試験」と「従来の試験」との有利不利も解説してくれており、「試験に合格する」という目的地に最短距離で進む上でためになる情報も解説してくれています。
テキストや試験の傾向を自分でキャッチアップするのは面倒、仕事で忙しく時間をとれない、という方におすすめです。
以下の記事も併せてお読みください。